リスクマネジメント 保険の種類 公的保険と私的保険の違いについて解説

リスクマネジメント ファイナンシャルプランナー

リスクマネジメント

日常生活には、事故や病気などがつきもの。これらのリスクが生じた時に、そのダメージを回避、軽減するように対策を立てることを「リスクマネージメント」といいます。

日常のリスク

●生活に関するリスク

  • 死亡リスク
  • 長生きによるリスク
  • 病気やケガのリスク

●物に関するリスク

  • 住まいのリスク
  • 自動車のリスク
  • 動産(現金、商品など)のリスク

●損害賠償に関するリスク

  • 他人の物に対するリスク
  • 他人のケガや死亡に対するリスク

公的保険と私的保険

保険には、国や地方公共団体が運営している「公的保険(社会保険)」と、民間の保険会社が運営している「私的保険」があります。

公的保険(社会保険)

公的保険(社会保険)には、医療保険、介護保険、年金保険、労災保険、雇用保険があります。

公的医療保険

公的医療保険には、健康保険、国民健康保険(国保)、後期高齢者医療制度があります。

  • ●健康保険
    →会社員とその家族が対象
  • ●国民健康保険(国保)
    →自営業者等とその家族が対象
  • ●後期高齢者医療制度
    →75歳以上の人が対象

健康保険

被保険者(会社員)とその扶養者(会社員のその家族)に対して、労災保険の給付対象とならない病気やケガ、死亡、出産について保険給付を行う制度です。

  • 全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)
    →全国健康保険協会が保険者(主に中小企業の会社員)
  • 組合管掌健康保険(組合健保)
    →健康保険組合が保険者(主に大企業の会社員)
保険料

保険料は、被保険者(会社員)の標準報酬月額と標準賞与額に保険料率を掛けて計算し、その金額を会社と被保険者(会社員)で半分ずつ負担(労使折半)します。

健康保険の給付内容

健康保険の給付内容は次の通りです。

  1. 療養の給付、家族療養費
  2. 高額療養費
  3. 出産育児一時金、家族出産育児一時金
  4. 出産手当金
  5. 傷病手当金
  6. 埋葬料、家族埋葬料
①療養の給付

日常生活の病気やケガについて、診察や投薬等の医療行為を受けることができます。

なお、医療行為を受ける際は、医療機関窓口で一定の自己負担があります。

  • 0歳-小学校入学
    →2割負担
  • 小学校入学-70歳
    →3割負担
  • 70歳-75歳未満
    →一般所得者2割、現役並み所得者3割負担
②高額療養費

月間の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、その超過額について請求をすればあとで返金を受けることができます。

所得区分(標準報酬月額) 自己負担限度額
83万円以上 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
53-79万円 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
28-50万円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
26万円以下 57,600円
住民税非課税世帯(低所得者) 35,400円

◆高額療養費の計算
たとえば、次の場合に返金される金額は
・医療費150万円
・年齢は40歳(所得区分は上記「ウ」)

1.病院に支払った金額:1,500,000円×3割=450,000円
2.自己負担限度額:80,100円+(1,500,000円-267,000円)×1%=92,430円
3.高額療養費として返金される金額:1-2なので、450,000円-92,430円=357,570円

③出産育児一時金、家族出産育児一時金

被保険者(会社員)または、被扶養者(会社員の妻)が出産した場合、1児につき42万円が支給される。

④出産手当金

被保険者(会社員)が、出産のために仕事を休み、給与が支給されない場合に、出産前の42日間、出産後の56日間のうちで仕事を休んだ日数分の金額が支給されます。

⑤傷病手当金

被保険者(会社員)が、病気やケガを理由に会社を3日以上続けて休み、給料が支給されない場合に、4日目から通算して1年6ヶ月間支給されます。この場合の支給額は次の通りです。

⑥埋葬料、家族埋葬料

被保険者(会社員)が死亡したとき、葬儀をした家族に対し、5万円が支給されます。また、被扶養者(家族)が死亡したときは、被保険者(会社員)に5万円支給されます。

健康保険の任意継続被保険者

被保険者(会社員)が会社を退職した場合、健康保険の被保険者の資格は無くなりますが、一定の要件を満たせば、退職後2年間、退職前の健康保険に加入することができます。この場合、保険料は被保険者(退職者)が全額自己負担します。

  • 〈要件〉
  • 健康保険に継続して2ヶ月以上加入
  • 退職日の翌日から20日以内に申請

国民健康保険(国保)

私的保険

私的保険は大きく「生命保険」と「損害保険」に分かれます。

このどちらにも属さない保険を「第三分野の保険」といいます。

  • 生命保険
  • 損害保険
  • 第三分野の保険

生命保険(第一分野)

人の生死に関して保障する保険

  • 終身保険
  • 定期保険
  • 養老保険
  • 個人年金保険

損害保険(第二分野)

偶然の事故で発生した損害を補填する保険

  • 火災保険
  • 自動車保険
  • 自賠責保険

第三分野の保険

生命保険、損害保険のどちらにも属さない、人のケガや病気に備える保険

  • 医療保険
  • 介護保険
  • 傷害保険
  • がん保険
  • 所得補償保険など

保険の原則

保険制度は、「大数の法則」と「収支相等の原則」を基に成り立っています。

大数の法則

大数の法則とは、少数では何の法則も見出せないことでも、大数で見ると一定の法則があることをいいます。

収支相等の原則

収支相等の原則とは、保険契約者が払い込む保険料が、保険会社の支払う保険料と等しくなるよう算定されることをいいます。

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