すぐに答えを出さず「考えさせる」モードも ビジネスの質を高めるGeminiの実力

2022年11月にChat(チャット)GPTが公開されてはや3年、生成AIは、もうすっかりブームを超えてビジネスや日常生活に定着した感がある。仕事の賢い相棒として、またプライベートの話し相手としてなくてはならない存在になっている人も少なくないだろう。

生成AIの活用状況については多数の調査結果が出ているが、おおむねChatGPT、Microsoft Copilot(コパイロット)、Gemini(ジェミニ)という3つのサービスの使用率が高いようだ。いずれも多機能で質の高いアウトプットが可能であり、必要に応じて複数のサービスを使い分けるユーザーもいる。

そんな中で、近頃、ビジネスでの活用シーンにおいて頭角を現してきたのが、Googleが提供するGeminiだ。25年3月から、Gmailやカレンダー、ドライブなどを含む法人向けサービスであるGoogle Workspaceのすべてのプランに、Geminiが標準装備されることになった。Google Workspaceは世界で数百万社が導入し、日本でも多くの企業が利用しているために、Geminiの優位性が格段に高まったのだ。

本書『Gemini 最強のAI仕事術』は、生成AI活用のスペシャリストである池田朋弘氏が、ビジネスに役立つ便利なAIツールを厳選して紹介する「AI仕事術シリーズ」の一冊で、Geminiの基本機能から、Google Workspace連携、NotebookLMについて徹底解説した実践ガイドブックだ。著者の池田氏はWorkstyle Evolution(横浜市)代表取締役。主宰するYouTubeチャンネル「いけともch」の登録者数は18万人を超える(25年9月時点)。

情報のピン留めができるCanvas

Geminiの最大の差別化要因は、100万トークン超の大容量データを一度に処理することが可能という点だ。トークンとは処理データの単位で、おおむね1トークンが日本語の1文字に相当する。競合するChatGPTやClaude(クロード)の処理能力は10万〜20万トークン、最新のGPT-5でさえ40万トークンなので、長文の処理については圧倒的にGeminiに軍配が上がる。

100万字もの文章を処理することなどないと思うかもしれない。だが普段の私たちの会話をそのまま文字起こしすると、意外と多くの字数が費やされていることがわかる。著者は「営業担当者の商談記録を複数件同時に分析し、優秀な営業担当者に共通する特長や改善すべき課題を抽出する」などの例を挙げている。

Geminiの基本操作はChatGPTと大きく異なることはないので、ChatGPTを使い慣れている人なら戸惑うことはないだろう。まったくの生成AI初心者にも優しいインターフェースになっている。

特筆すべきだと感じたのは、Canvas(キャンバス)という機能だ。生成AIとのチャットを、ある程度長く続けていくと、その途中でアウトプットされた情報が埋もれてしまうことがある。その点、Geminiでは、チャットの横にCanvasと呼ばれる画面を表示することができる。そこに、Geminiが生成した重要な情報をピン留めしておけるのだ。

さらに便利なことに、Canvasの画面にある情報は、ユーザーが直接編集できる。ChatGPTなどで生成された文章は、通常はコピーして、ワードやメモ帳などのテキストエディタなどに貼り付けて編集することが多いと思われるが、Geminiならばその手間が省ける。

「ガイド付き学習」で学びを深める

リスキリングに関しては「ガイド付き学習(Guided Learning)」という機能が有用だ。このモードにすると、問いかけに対してGeminiが即座に答えを出すのではなく、ユーザーとの質疑を通じて理解を段階的に深めていける仕組みになっている。

例えば「研修サービスを立ち上げるが、どんなサービスにこれから需要があると思うか」といった問いかけに対し、「どのようなターゲットを想定していますか?」と質問返しをし、「ビジネスパーソン、エンジニア、学生」などと選択肢を提示する。そうやってターゲットを絞り込んだ上で、次は「そのターゲットがどんな困りごとを抱えているか」の選択肢を与える、といった具合だ。

この例はGeminiに提案を求めるケースだが、リスキリングなどの学びに使うのにも最適だ。Geminiに講師になってもらい、段階的に出題されたクイズに答えていくことで、効果的に知識を身につけていくことができる。

また、作業の効率化には、「Gem(ジェム)」という機能が役立つ。これは、あらかじめプロンプトを設定したり、ファイルをアップロードしておくだけで、同じ指示を毎回入力しなくても、特定の業務や内容に特化したチャットを自動的に実行できる機能だ。例えばリスキリングに際し、Geminiの助けを借りながら事前に学習のスケジュールを立て、それをGemに登録しておくなどの使い方ができるだろう。

Geminiは有能なAIツールだが、もちろんChatGPTやClaudeといった他のツールと組み合わせて使うのもいい。本書を参考に、Geminiをリスキリングの優秀なパートナーの一人に加えてみてはいかがだろうか。

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